ふぐちん1万字インタビュー 前編
アーティストは大きく二つに分けることが可能である。一つは自分の作品を主義主張のツールとするアーティスト。その代表とされているのがジョンレノンであり、ボブ・マーリーであり、レイジ・アゲインスト・マシーンであろう。彼らの音は常に確固たるイデオロギーと共に存在し、直接的にメッセージを持つことが多い。
そしてもう一つはそのクオリティーだけを追究するアーティスト。つまり個人の主張を作品に入れないアーティストである。彼らはただ一点、「その曲のクオリティーをあげる」ことだけを正のベクトルとする。そこにジャーナリズムが意味や価値を付加し、よりイデオロギッシュに捉えるのは危険とさえ感じる。そう、多くのアーティストは曲をかっこ良く作ること以外には「別に何も考えてない」のだから。
その代表とされるのがトリオ・ロス・ヘグシオのふぐちんというアーティストではないだろうか。それを証拠に、彼は「別にそんなに何も考えてないんやけど・・・」、「そこはそんなに意味はないよ。」といったようなことを言う。確かにそうなのかも知れない。しかし不思議なことに、彼の音は歴然と“主張たり得る音”として耳に残る。それ故に彼のプレイは我々の心を掴んで放さない。ふぐちんこそが無意識に事を起こす確信犯なのだ。そしてその姿こそが最も優れたアーティスト像なのかも知れない。
最初で最後のリリースというタイミングだからこそ聞けた、これまでの軌跡と今後の展望。
●今日は、京都のサンボマスターとしても名高く、狂おしいほどのJ-popを奏でていたバンド、トリオロスヘグシオのドラマーのふぐちんさんにインタビューをさしていただきたいと思います。よろしくお願いします。
ふぐちん 「よろしくお願いします」
●まずはCD完成おめでとうございます」
ふぐちん 「ありがとうございます」
●まずですね、まぁCDができたわけですけど、達成感とかどうですか。
ふぐちん 「いやもう想像以上の出来にびっくりしてます。はい」
●聞いて欲しい点とか、ここは聞きどころだぜ、みたいなのってありますか
ふぐちん 「えっとね、やっぱり最後の歌とか、どうやって録ってたか知らないんですけど、すごくよかったんで、楽しみにしててください」
●レコーディングにあたって何か苦労された点とかなにかありますか
ふぐちん 「えー・・・えっと、レコーディングってやっぱり難しくて、やっぱりおなかがすいたりもするし・・・、あれいつや、あっ9月、9月に録音したんですけど、夏がこう、もう終わっていく感じが、すごく寂しさと同時に・・・楽しさと同時に・・・」
●寂しさが
ふぐちん 「はい、でもすごい楽しくできたのでよかったです。」
●あ、じゃとくにそんな苦労っていうよりは・・・
ふぐちん 「そうですね、いやもう楽しくやりました」
●じゃあ、えっとですねぇ、まず1曲ずつ訊いていきたいなと思うんですけど、えー・・・まず1曲目のB.A.Dですが
ふぐちん 「ハイ」
●これはどうですか、これかなり魔法がかった曲だよね。
ふぐちん 「そうですね」
●あの魔法ってどっから来たの?
ふぐちん 「え!?どっからきたんやろ・・・うーん・・・多分・・・この曲は・・・どっからきたんかな。まぁわりと・・・結構近所やと思います、わかんないです。はいすいません。」
●じゃ2曲目のSumoだけど、なんか聞くところによると、実際みんなで相撲を見に行ってインスパイアされて出来た曲だって聞いたけど
ふぐちん 「はい、もう、相撲見に行って、3人で。そのときのネ、あの、あれ、あの人、朝青龍が凄かって、めっちゃなんか殺気立ってる・・・あの人はもう、かっこよかったですよ。」
●ふーん。そのへんが曲に反映されてるって感じ?
「ハイ。国技館にもいったんですけど、ちょっとその日は入れなくて、外側だけ見たんですけど。エヘヘ。あれは凄かった。外側だけでも、ウン」
●うん、そっかー。3曲目のフレディはどういう曲なの?
ふぐちん 「あれはもう完全に、渉太くんも言ってたけど、おもちゃ箱をひっくり返したような、全てが、なんというか入ってるというか、あれは歴史的名曲というか、ですね」
●かなり自信ありげだけど
ふぐちん 「はい、もうね、すばらしかったです。出来たものを聞いたら。」
●で、じゃあ、その3曲でヘグシオとしてバンドとして表現したかったことって、なんなの?要約すると。一言で言うと
ふぐちん 「えっと・・そうやな・・・なんやろな・・・いいバンドやったな。」
●いいバンドだった、それはバンドとしての音楽がよかったってことだよね。
ふぐちん 「ウン・・・うん。うん」
●てゆうか、表現したかったことが聞きたいんだけど。
ふぐちん 「んーっとねぇ、表現したかったこと・・・うーん、なんやろなぁ。んっと、ダンスと、エンターテイメントとか、あとは・・・見たことないけど楽しいもんやった。もんやわ。もんになるはず」
●見たことないけど楽しい
ふぐちん 「ハイ」
●それはさぁ、ま、楽しさっていうのを前面に出すっていうヘグシオの音楽は、ポップミュージックとして成立すべきなんだ、成立するはずなんだっていう、それをどこかで証明するためにやってた、って感じなんだよね?
ふぐちん 「うん、そう、すごい、それ、そう」
●やっぱりそうなんだ。それはヘグシオのライブとかでもすごい感じた。ただ、今、ポップスの進化のスピードってものすごい速さですすんでいってるわけじゃないですか
ふぐちん 「そうなんですか」
●それって、ある種人間の消費本能ともすごくシンクロしていることだと思うんですよ
ふぐちん 「そうなんですか、へー」
●それはどう思う?
ふぐちん 「そうだと思います」
●それじゃそろそろふぐちん個人のことをきいていきたいんだけど、そもそもなんでヘグシオに入ったの?
ふぐちん 「えっとね、もともとは僕ら3人ともう一人いてパラダイス銀河っていう4人組のバンドをやってて」
●あぁパラ銀
ふぐちん 「そうそう。で、そのベースの人が沖縄に行ってしまって、そのバンドが終わってしまった、みたいなところをギターの森君がもっかい3人でやらない?っていう話で。」
●あ、そうなんだ。じゃ、もうちょっとルーツの方聞いていってもいいかな。
ふぐちん 「ハイ」
●じゃそもそも一番初めにドラムを叩き始めたのはどういうきっかけで?
ふぐちん 「それは、大学の音楽サークルに入ってドラムをはじめました。」
●普通だねぇ。なんでドラムを選んだの?
ふぐちん 「えーっとねぇ、高校生のときに、えーっとはあん時は民生(奥田)が好きやって、で、民生と一緒のギターを買って、ヨシ!と思って弾き出したんやけども、あの・・・めっちゃ、こう、小っちゃい。弦とか、押さえるとことか。で、もうイーッ!ってなって、もう挫折をしまして、でも、ちょっと音楽をやってみたかって、高校生のときはそれっきりやったけど、まぁ今度は的のおおきいドラムにしよー、というのが、きっかけですね」
●へーじゃ、高校のときはギターで。それは京都に来る前だよね。ふぐちんはどこの出身なの?
ふぐちん 「えーっと福井県。」
●福井だからふぐちんなの?
ふぐちん 「いや関係ないみたい」
●そうなんだ、じゃそのふぐちんというあだ名は・・・なぜ?
ふぐちん 「あぁそれね、そう、最近オレも命名した人に出会って、実はちょっと聞いたら、まぁ、なんかそん時の磁場とか、そういう」
●あ、そういうパワーネームなんだ
ふぐちん 「いやまぁそん時の気分とか、らしくて」
●そうなんだ。じゃあ気に入ってる?
ふぐちん 「うん、いまはわりと。」
●京都に来たのはなんでなの?
ふぐちん 「大学で」
●なんで京都の大学を選んだの?
ふぐちん 「それはねぇ、なんかねぇ、まぁとりあえず福井を出たくて・・・ていうのがあって・・・どこや、なんか・・・なんやろな、まぁ・・・東京には怖くて、ちゃうわ、行きたくなくて、で大阪も・・・怖そうやって、で、京都にした記憶がある。」
●あー、じゃわりと結構ネガティブな・・・
ふぐちん 「そうそうそう、でもたまたま友達とかが京都の大学を受けるとか言ってて、アーヘー、近いしいっかなぁって感じで・・・」
●あー、じゃ結構そういうポジティブバイブレーションもあったり
ふぐちん 「まぁ、あったり、なかったり・・・」
●フーンそっか。そうやって京都に来て、ま、みんなと出会ったわけだけど。で、彼女が出来て・・・彼女が出来たのはいつくらい?
ふぐちん 「彼女?あの子??」
●岡山でお世話になった。
ふぐちん 「あーあの子は、んとねえ一年前ぐらい。」
●一年前ぐらい。
ふぐちん 「ハイ。」
●ふぐちんにとってどういう存在なの?
ふぐちん 「いや、まあ・・・すごい・・・ありがとうございますって感じです。」
●あーそうなんだ。じゃあ、支えられて、音楽やる上でも。
ふぐちん 「あー、はい。そう。ですね。」
●えー、そうやって、パラダイス銀河からヘグシオに移って、いろいろライブ活動もしてたわけだけど、東京とか、岡山とか色々ツアーみたいな感じで回ってたわけだけど。その辺の日本の音楽シーン、違いってあると思うんだけど、その辺の違いってのはどう感じた?
ふぐちん 「どう?」
●例えば岡山のシーンは?
ふぐちん 「岡山のシーンは、、どうやったんやろな・・・岡山のシーン・・って、はい。あんまり、、見えへんかった。。かなーっと思ったんやけどオレは。」
●あんまりシーンがないってこと?
ふぐちん 「いや、じゃなくて。行った時に・・・」
●ド田舎?
ふぐちん 「あーでも田舎やったなあ。ライブハウスが予想よりもすごく小っちゃくて。びっくりした。」
●こんなもんか。みたいな?
ふぐちん 「いやあー。そんなネガティブな感じではないけど。はは。うん。おー。ちっちゃい、と思って。」
●逆に東京はどうだったの?かつては恐れていた東京にヘグシオとして行くと。
ふぐちん 「そうそう、東京はやっぱでも、ね、すごい、何回?あ2回行ったんか。どっちもめっちゃなんかすごいところやって。おー。」
●凄いってのは?
ふぐちん 「何が凄かったんかな。。やっぱ東京っぽかったんかな。フフ。」
●東京っぽかったって、、
ふぐちん 「東京ぽかった気がする。」
●それまんまだよね。
ふぐちん 「そう。」
●ライブバンドとしてのヘグシオは素晴らしかったんだけど、
ふぐちん 「あー、ほんま。」
●僕なんか、ヘグシオのライブ見てて、曲が凄く歌に聞こえる感じなんだよね。
ふぐちん 「あー。」
●その辺は、意識して奏でているの?
ふぐちん 「あー、そこは、ねー、やっぱそういう所はやっぱみんな、歌心とかがあったんちゃうかな。」
●心に響く、ノスタルジックな聞こえ方がするよね。
ふぐちん 「あ!そういうとこ、あるね。」
●あと、静から動へのパートに行く感じとか、焦燥感がめちゃくちゃあるじゃないですか。
ふぐちん 「焦燥感が。はー。」
●その辺は意図してやってるの?
ふぐちん 「・・・うん。」
●あ、やっぱりそうなんだ。そういう小悪魔的な側面から壮大なバラードへ移るっていう、やっぱりそういうバンドなんだ。
ふぐちん 「ああ、そう、ね。すごいそれ。」
●じゃ、ヘグシオ以外にもふぐちんはバンドをやってると思うんだけど、
ふぐちん 「はい。」
●精神的な、表現したいことの住み分けみたいのはあるの?
ふぐちん 「あんまり、意識はしてなかったけど。」
●自然と滲み出ちゃう、
ふぐちん 「滲み出ちゃう・・・うーん。」
●やっぱり、他のメンバーとの絡みでアウトプットが違ってくるわけだよね。
ふぐちん 「そう、ね。やっぱり人が違うと。」
後編に続く・・・
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