─創作活動を始めた時期やきっかけについて教えてください。
坂本 映像を作り始めたのは5年くらい前です。もともと音楽をやっていて、自分で作った曲にPVをつけたら面白いかなという軽い気持ちで。PVを作ったneco眠るとかBOGULTAとかも、バンドを組んでいた頃に一緒のライブハウスとかでやっていた友だちなんです。
坂本さんの作風として語られる「衝撃と脱力が共存したシュールな笑い」の起点はどこにあるのでしょうか?
坂本 核にあるのはおちゃらけの気持ちだと思います。中学時代に音楽を始めたのも、クラスのひょうきんものの延長という感じで。あと、モテたいっていうのもありましたね。今もその気持ちは変わらないんですが。
─創作のモチベーションはモテ、ということですか?
坂本 そうです。どんなのを作ったらモテるか、と考えて作品を作ってます。今のところ、あいにくとモテてはいないんですが。
─それは残念です。ただ、モテを指標とするとしたらまた別の表現があるとは思いますが……。
坂本 中高と男子校だったんでその時に狂ったんじゃないですかね、モテの方向性が。ただ、本人的にはいつかモテると思ってやってるので。
─時代が追いつくかもしれないですね。
坂本 そこに期待しています。
─では話を戻して。たとえば幼少期から現在まで、どんなものに影響を受けてきたのでしょうか。
坂本 少年時代に多大な影響を受けたのは、「特攻の拓」というマンガですね。不良マンガなんですけど、小3くらいの頃には全力で面白い!と思っていました。それが段々と大人になるにつれて見え方が変わってきたというか、よくよく考えてみればこの世界はおかしい、面白いと思うようになったんですよ。
─ギャグマンガではないんですよね。
坂本 普通にシリアスなマンガなんですけど、セリフが面白いんですよ。当て字がやたらと多かったり。あとキャラがめっちゃ濃いんです。全員、高校生とは思えないようなやつらばっかりで。
─なるほど。シリアスな中に見えてしまうおかしさがツボにハマったと。
坂本 なんか過剰でおかしいんですよね。あと、お笑いだと笑い飯がすごく好きです。笑い飯って小学生男子のノリを大人になって過剰にやってるイメージがあるんですが、自分にもそれはあると思います。
─小学生男子ってひとつの事象に対してしつこいまでに盛り上がりますよね。
坂本 今でも基本的にそんなノリは変わらないんですが、小学生の頃よりは遥かに賢くなってると思うんで、あの頃の興味とノリを今の知能で表現したいっていうのがありますね。
─また、シュールでナンセンスな世界は、一つ上の世代だと天久聖一さんやタナカカツキさんなどに通じるような気がするのですが。
坂本 僕が世界で一番素晴らしいと思ってるPVは、天久さんが作ったゆらゆら帝国の「美しい」なんです。天才すぎると思いました。それと、映像を作り始めた頃に最大の影響を受けたのはAC部です。初めて見た時には面白すぎて戦慄を覚えました。それこそ多摩美卒っていうか、ホンモノって感じで。僕自身、芸術とかアートが全然わからないっていうコンプレックスがあるので、多摩美に憧れています。美大に。
─坂本さんの創作する映像やアニメーションもアート表現のひとつだとは思いますが。
坂本 自分の中ではアートって、世界の新しい見かたを提示するものだと思ってるんですよ。それにはめっちゃいい頭が必要だと思っていて。自分にはそんな頭脳はないと思っているんで、得意分野のおちゃらけで行こうと。あと、基本的に誰でもわかるものじゃないとイヤっていうのもあって。知り合いの子どもが二歳なんですけど、アンパンマンが大好きなんですよ。二歳くらいの記憶ってないじゃないですか。なのに、アンパンマンが好きやった時期があるのって面白いなと。言うたら、アンパンマンみたいなのを作りたいですね、究極では。“誰にでもわかる”が行き過ぎて、二歳児も好きになってくれるみたいな。
─意外ですね。超メインストリームのアンパンマンに対して、坂本さんの世界はわりと通好みというかサブカルチャーの文脈で語られそうですが、それは意図とは違うと?
坂本 自分もサブカルは嫌いじゃないですけど…。なんちゅうか、みんなにわかって欲しいんです。作ってるときは、一番わかりやすい言葉で喋ってるってイメージですね。
─08年にはスペインの「SONAR」で作品が上映されたそうで、坂本さんの目指す「わかりやすさ」は国境を超えたってことですね。
坂本 「なんだこりゃあ」みたいな反応だったらしいですけど、外国の人にも見てもらいたいって言うのはありますね。自分が外国のことをよく知らないんで、どんなふうに思うのかなって興味があります。
─昨年11月には映像作品集「THE DVD」がリリースされました。坂本さんのこれまでの活動の集大成とも言える作品集だと思いますが、今後の活動のご予定は?
坂本 今度、関西の「カジカジ」っていう雑誌で4コマ漫画が始まる予定です。DVDを見て、描いてみてもらえへんかって依頼が来て。その漫画をアニメにできたら面白いかなあというのも考えてるんですけど。あと、3月に大阪、4月に東京で個展をやります。それも作品を気に入ってくれた人が誘ってくれたんですけど、今のところ考えてるのは段ボールで等身大の人形を作ろうかなと。小学生の工作みたいな。
─「THE DVD」にもピーマン太郎という謎のキャラクターのフィギュアが登場しましたが、創作に関しては映像/立体/平面とこだわらず?
坂本 やりたいことはいっぱいあって、今は居場所を探しまわってる状態ですね。あとDVDでもやってますけど、漫才とか。今年はもっとお笑いみたいなのをやりたいですね。映像だけじゃなくて、ライブみたいな感じでも。
─音楽活動については?
坂本 そっちはあまり。ただ、ラップはもうちょっとやりたいですね。DVDにもKINKI KIKKIっていうラップ・ユニットで出てますけど。
─おちゃらけがベースにあれば、フォーマットは関係ないと?
坂本 ないですね。アートとは対極にあるものばかりですが。
─しかし、先ほど坂本さんがおっしゃった「新しい世界を提示する」というアートの定義は、坂本さんの作品にも確実にあると思うのですが。
坂本 いや、おこがましいんで。でも、じゃあ、アートで(笑)。あと、8月に北海道で個展があります。それはneco眠るのPVを見た人が、「マジカル郵便局」という絵はがきコンテストに誘ってくれて、それで賞をもらって。賞品が個展だったんです。
─2010年は飛躍の年になりそうですね。
坂本 そうなればいいなと思って、いろいろ挑戦して行こうと思ってます。あとモテたいです、今年は。
2010年11月19日金曜日
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